2023年02月28日

株式会社ワコールホールディングス・株式会社ワコール
代表取締役社長執行役員 就任会見(動画)

株式会社ワコールホールディングスは、2023年2月24日、当社ならびに主要子会社である株式会社ワコールの代表取締役社長執行役員の就任会見を行いました。以下、会見におけるスピーチの概要をお知らせします。



<スピーチ概要>

(株)ワコールホールディングス 代表取締役 社長執行役員(予定)
矢島 昌明

安原社長の後任として、(株)ワコールホールディングスの社長を拝命致しました。どうぞ、よろしくお願い致します。

ワコールホールディングスの社長を拝命するにあたり、その重責に身の引き締まる思いでおります。ご存じのとおり、2月10日(金)に、当期の業績予想の下方修正の適時開示を行いました。ワコールホールディングスの取締役として、今回の下方修正を重く受け止めておりましたので、社長の大役をお受けするべきかどうか深く考えましたが、ワコールグループの創立以来の危機にこのような機会を与えていただけるのであれば、身を粉にして真剣に取り組んでいく必要があると考え、最終的に決断致しました。

私は、1984年にワコールに入社し、中国での駐在を経て、国内の技術生産、企画・販売部門の責任者を務めました。現在は海外事業を統括しております。自身の強みは、「失敗を失敗のまま終わらせず、学ぶ機会にすることで、最後に成功に導く粘り強さ」であると認識しております。外部環境の変化は激しく、これからもさまざまな難題が降りかかってくると思いますし、うまくいかないこともきっと多いと感じております。「成功まで諦めない」という強い姿勢を貫くとともに、うまくいかなくてもその原因を分析し、繰り返しチャレンジすることで成功に導きたいと思います。

さて、非常に業績が厳しい中で、ワコールグループの立て直しに取り組むわけですが、私自身、今のワコールグループには大きく3つの課題があると考えております。3つの課題とは、「収益性」、「ガバナンス」、そして「企業文化」です。

課題の1つ目は、「収益性」についてです。私自身の最大のミッションは、収益性の改善をなんとしてでも成し遂げることであると認識しています。現在、グループ全体の収益力強化に向けて、各事業会社で「コスト構造改革」や「ビジネスモデルの再構築」などの取り組みを進めているところです。事業会社によって取り組む優先順位が異なりますが、国内事業に関して言えば、コスト構造改革のさらなるスピードアップが必要だと感じております。高品質な商品が私たちの提供価値であることは事実ですが、結果として過剰な品質管理になっているケースや、人員配置が適正に行われていないケースが見受けられます。収益改善に向けて、さらなる合理化を進める余地は必ずあると思いますので、過去のしがらみにとらわれることなく、改革を進めていきます。
また、事業ポートフォリオの最適化についてはこれまでも取り組んでいますが、さらに踏みこんでいきたいと考えています。ワコールグループの成長に向けて必要な事業体であったとしても、赤字経営であれば改善が必要です。何をやっても黒字化が見通せない事業、事業ポートフォリオ分析の結果、グループへの貢献度が低い事業については撤退の判断を行ってまいります。

課題の2つ目は、「ガバナンス」です。ホールディングスと、事業会社の役割をこれまで以上に明確化したいと考えています。 ホールディングスは事業会社の経営に対する監督を行い、事業会社は執行責任を果たすという役割分担が本来の正しい姿ですが、双方の役割整理が十分でなかった部分が残っていたことによって、事業会社の経営に対する監督機能が効果的に機能していないケースがありました。ホールディングス体制の原点に戻り、監督と執行という双方の役割を正しく機能させることで、経営の実効性を高めていきたいと思います。 この他、グループ内の横連携も、これまで以上に強化していきます。ピーチ・ジョンやワコールヨーロッパ、アジア各国など比較的業績が好調で高収益を上げている事業会社もありますが、そのノウハウや仕組みを十分に共有できていません。昨年度から連携を強化した東南アジアでは、シンガポールをヘッドオフィスとして各国で情報を共有し、商品やECのプラットフォームの共通化などに取り組み、成果をあげています。このような事例を積み上げていきます。

課題の3つ目は、「企業文化」です。特に日本ワコールにおいては業績が長期にわたって低迷していることもあり、従業員がリスクをとることを恐れてしまっているのではないかと危惧しています。また、従業員の中で「課題に思っていることを提案しても、どうせ解決できない」という雰囲気があり、以前に比べて、従業員間の活発な議論が少なくなってきていると感じています。また、マネジメント層も自らが率先垂範して課題を解決しようという行動が弱く、結果として全社の「意識決定のスピードの遅さ」につながっていると分析しています。

当社グループは創業期から挑戦を繰り返すことで、成長を実現してきた企業です。本来の姿である「挑戦する企業風土」を取り戻していかなければなりません。若いメンバーは新しいことを提案して挑戦したいと思っているのに、マネジメント層がその想いにふたをしてしまっていては誰も成長することはできません。一番大事なことは、マネジメント層が現場のどんな意見・行動に対しても批判から入るのでなく、フラットな視点で意見を聞いて正しく評価し、必要なチャレンジを後押ししてあげることです。その繰り返しが当たり前にできる会社に変革していくことも、私の役割です。社長就任後は、従業員との座談会を実施するなど、従業員エンゲージメントを重視し、企業風土の変革に努めていきたいと思います。

結びになりますが、ワコールの強みは「独自のビジネスモデル」と「これまで積み重ねきた顧客との信頼関係」に他なりません。研究、企画、生産、販売といったバリューチェーンを自社で保有し、高品質な商品を生み出すことができる力こそが、ワコールグループの最大の競争優位です。また、70年を超える歴史の中で積み重ねてきた顧客との信頼関係も大きな強みです。

この強みをさらに磨くことで世界中のお客さまに、より一層信頼されるブランド、愛されるブランドを持つ企業として進化し、社会に広く貢献できる企業でありたいと思います。そして、その結果として、世界のお客さまはもちろんのこと、ワコールグループで働く従業員の幸せを最大化していきます。そのためには、私自身が従業員と一緒に、誰にも負けない努力をもって成長していくことが必要となります。

何卒皆さまからのご指導、ご鞭撻を賜りますよう、お願い申し上げます。以上です。ご清聴ありがとうございました。


(株)ワコール 代表取締役 社長執行役員(予定)
川西 啓介

この度、(株)ワコールの社長という大役を拝命する事になり、大変身の引き締まる想いです。
本日は、社長拝命にあたり、私の想いをお話しさせていただきます。

私は入社以来、国内でスタッフ部門、企画部門、販売部門を経験した後、駐在12年間を含む16年間、海外事業に携わりました。これらの経験を通じて培った自身の強みは、起こり得る展開やステークホルダーに対して、「想像力を持って行動できること」だと思っております。経営の判断においては、この“想像する”ことが出発点だと認識しています。さまざまな事象やステークホルダーに対する影響度、根拠、時間軸などを想像し、正しく分析した上で、判断・行動していきたいと思います。

非常に厳しい経営環境の中で、私に与えられた大きな使命は、足元の現実的な課題である「収益性の立て直し」に努めるとともに、その後の「成長軌道への回帰」を実現することです。

「収益性の立て直し」について、先ほど、次期ホールディングス社長の矢島さんが繰り返し説明されましたので、私からの説明は割愛させていただきます。私としては、「いつまでに、誰が、何を、どのレベルで実行するのか」という当たり前のことを当たり前に進めていくことに集中したいと考えております。また、従業員の意識変革についても、現状維持では立ち行かないということは明らかなので、まず認識を変えてもらい、そこから自身の仕事のやり方を変える行動を実践してもらいたいと思っています。

次に、「成長軌道への回帰」に向けた自身の考えをお伝えします。まず、最優先課題である商品力の強化についてです。 ワコールは、1949年の創立以来、斬新な機能性を、丁寧なものづくりで表現し、成長を果たしてきました。しかしながら、お客さまや社会が私たちに期待する価値は常に変わり続けています。マーケットの変化の速さと、お客さまの下着に対する価値観の変化への対応が遅れた結果が、今日の業績であることを私たちは自覚しなければなりません。私たちがこれからもお客さまから必要とされる存在であり続けるためにも、もう一度お客さまの目線にしっかりと立ち、その見える景色を可能な限り想像して、期待に応えていきたいと思います。また、その先にあるニーズを探り、新たな価値を提供できる体制を早期に構築したいと考えています。

次に、「マーケティング」と「エリア戦略」についてご説明します。「マーケティング」については、顧客とのコミュニケーションの方法が多様化しており、ワコールが伝えたいことを伝えるには、従来の方法だけでは限界があると判断しています。大手広告代理店を活用した総花的なコミュニケーションではなく、目的に特化した手法も取り入れて、効果を高めていきたいと考えています。

「販売活動」については、エリア戦略を引き続き、継続することになります。現在、販売部隊は百貨店、専門店、量販店、直営店という異なったチャネルをミックスで管理していますが、各セールスは自身の経験のあるチャネルに関する知見が多いため、担当店の管理に目が行きがちです。今後は、どのチャネルがエリア内で成長の可能性があるのか、どのブランドポートフォリオであれば成長を実現できるのか、ということを企画・販売・マーケティングが一体となって考え、判断・実行していきたいと思います。
同時に、ECや直営店などの「直販」を強化し、顧客接点の拡大を通してシェア獲得に注力します。また、3D計測システムを活用した新たなサービスや新規事業の開発にも積極的に取り組むことで、成長軌道への回帰を実現したいと思います。

デジタルを活用した顧客との関係性の再構築については、現在は5合目程度の進捗であると認識しています。顧客基盤の整理が完了し、これまでチャネル別だった顧客データを統合して使用できるようになりました。しかしながら、これはあくまで社内の状況であり、プッシュ通知など顧客への情報発信を実施していますが、顧客自らがアプリなどの利便性を積極的に享受できる状態になるまでには、もう少し時間がかかると想定しています。利便性の向上に向けて、実装後もUIの改善も含めて、PDCAを廻していく必要があると認識しています。こちらは着実に実行し、売上につなげていきます。

結びになりますが、ワコールは創立以来、幾多の変化と苦難を乗り越えて、長い歴史を築いてきました。それは「世の中の人々の美しくありたいという想いに応え、社会に貢献しよう」という企業理念を体現するために多くの従業員が力を合わせて、お客さまのこころまで快適にする商品やサービスを生み出してきたからです。ワコールにはたくさんの知見があり、それらを活かして、新たな提供価値を生み出すことができる従業員も多くいます。大きな方向性を示すとともに、従業員と大いに議論し、ワコールらしさを失うことなく、まい進してまいります。

皆さまの温かいご支援とご指導を賜りますよう、よろしくお願い申しあげます。

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