トップメッセージ
中長期経営戦略フレーム「VISION 2030」の実現を目指し、ワコールグループは新たな挑戦を始めます

ワコールグループは、2022年4月、経営理念の基本体系を見直し、これからの社会において当社グループが果たすべき社会的使命「ミッション」を新たに策定いたしました。同時に、創業来70年を超える歴史の中で受け継いできた「社是」、「目標」、「経営の基本方針」を、「創業の精神」と位置づけ、「ミッション」との両輪をもって、当社グループの新しい経営理念とすることを定義しました。
新しい「ミッション」では、「世界中のあらゆる人々の豊かな生活に貢献すること」、「画一的な外見美ではなく、内面も含めた自分らしさの実現をお手伝いすること」、「環境や人権などさまざまな社会課題の解決に努めること」を、世界のワコールグループ全体で目指すことを宣言しています。「社会課題の解決」と「持続的成長」の実現を目指すサステナビリティ経営を推進し、ひとりひとりのお客さまが抱える課題の解決に役立つ商品やサービスを提供することを通じて、企業価値向上に努めてまいります。
中長期経営戦略フレーム 「VISION2030」
経営理念の新体系の策定とともに、2030年に向けた当社グループの方針をまとめたものが、中長期経営戦略フレームワーク「VISION2030」です。「VISION2030」では、“高い感性と品質で、ひとりひとりのからだとこころに、美しさと豊かさを提供し、「世界のワコールグループ」として進化・成長する”ことを、2030年に向けた目標として定めました。
国内においては、これからの数年間で客層を拡大させつつ、同時にワコールがお客さまに提供できる商品やサービスのすそ野を広げることに取り組みます。加えて、EC事業の強化に努めるほか、メタバース市場での成長機会の獲得にも挑戦し、新たな顧客接点拡大を実現することで、成長力や収益力を高めていきます。一方、「VISION2030」の実現に向けては、海外事業が国内以上に重要な役割を担います。米国、英国、中国、アジア諸国などの既存進出エリアは、今後も市場規模の拡大が見込めることから、収益性を伴った事業拡大の継続を目指していきます。加えて、欧州やインド市場の開拓など新たな市場の取り込みを進めていく方針です。
「VISION2030」では、将来に向けた新規事業領域のキーワードとして、「美」、「快適」、「健康」を掲げていますが、これはワコールグループにとって目新しいものではありません。これらのキーワードを改めて示したのは、今後、新しい事業の創出に当たって、当社グループのミッションを実現するためのワコールにしかできない領域に経営資源を集中したいとの思いからです。ワコールらしい、「高い感性と品質」で支えられた新たな商品とサービスを深耕・拡大していくことで、人びとの「美」、「快適」、「健康」に貢献してまいります。
新「中期経営計画」
「VISION2030」実現への最初のマイルストーンとなるのが、2025年3月期までの3か年を視野に入れた中期経営計画です。コア戦略として、「国内事業:レジリエントな企業体質への転換」、「海外事業:グローバル成長の加速」、「サステナビリティ:マテリアリティに対する取り組み推進」、「財務:資本コストを上回るROEの創出」を掲げており、「VISION2030」実現に向けて確固たる礎を築くことが新たな3か年の役割になります。
国内事業については、感染症下で改めて顕在化した高コスト体質を早期に解消し、変化への対応力を強化してまいります。前中計から引き継ぐ要員計画マネジメントをはじめとするコスト構造改革を推進するとともに、働き方改革・ものづくり構造改革を追求し、収益力の向上を図ります。
海外事業については、オフラインとオンラインを融合した当社独自のサービスを展開し、競合他社との差別化を図ることで、各国市場における当社ブランドの認知度を向上させることに取り組んでいきます。同時に、アジア各子会社や米国のインティメイツ・オンライン社の採算改善の取り組みを進めることで、更なる収益性の向上を図っていく考えです。
生産・供給体制については、感染症の拡大や地政学的リスクの高まりにより、原材料費や輸送費が高騰していることに加え、感染症の拡大状況によっては不安定な操業を強いられることが想定されます。生産性の更なる向上に向けたグローバルベースでの供給体制の再整備に努めるとともに、工場の操業の安定化への取り組みを推進してまいります。
サステナビリティへの取り組み
当社グループは2022年4月に、持続可能な社会の実現に向けた国際的な枠組み「国連グローバル・コンパクト」に参加しました。ここに定められた「人権」、「労働」、「環境」、「腐敗防止」の4分野10原則に沿い、国際社会と協調した事業活動を継続することで、持続可能な社会の実現に貢献するとともに、企業価値の向上に努めてまいります。特に、「人権」と「環境」に関しては、国際社会や顧客からの要請も高まっており、企業の社会的責任を踏まえ、グループ全体で課題解決に向けた行動を強化する必要があります。
「人権」については、2022年4月に「ワコールグループ人権方針」を国連が定めた「ビジネスと人権に関する指導原則」に準拠した内容に改定しました。すでに「ワコールグループCSR調達ガイドライン」の定める内容の遵守状況を的確に把握し、継続的な是正・改善につなげるサイクルの運用を開始していますが、今後は国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」に準拠した人権デューデリジェンスの考え方に基づいて、人権への悪影響を低減・防止し、人権尊重への取り組みを強化してまいります。
また、「環境」に関しては、2021年9月、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言に賛同を表明し、2022年6月に開示を行いました。また現在、温室効果ガスの排出量の削減に向けた具体的なプロセスを「サステナビリティ委員会」において検討しています。サステナビリティへの関心が高まる中で「良い商品を長く使いたい」「環境に配慮した商品を使用したい」という消費者の要望も高くなっています。当社グループの強みである、品質の高い商品の提供を通じて、消費者ともに環境負荷軽減に向けた取り組みを推進していきたいと考えています。
現場の社員からマネジメントに至るまで、それぞれがそれぞれの持ち場でしっかりその役割と責任を果たすことで、ワコールグループはこれからも社会の中で存在意義のある会社として企業価値を高め、持続的な成長を目指します。ステークホルダーの皆さまには、引き続きご支援を賜りますようお願い申し上げます。
株式会社ワコールホールディングス
代表取締役社長執行役員
