人権

人権方針

当社は人権尊重の取り組みをグループ全体で推進し、その責務を果たしていく指針として、「ワコールグループ人権方針」(以下 本方針)を制定しています。本方針は、国連が定めた「ビジネスと人権に関する指導原則」に準拠しています。
本方針は、ワコールのすべての役員と従業員に適用するとともに自社の製品・サービスに関係するすべてのビジネスパートナーに対しても本方針の理解・支持を期待し、はたらきかけていきます。なお、本方針は取締役会の承認を得て、制定・開示しています。

ワコールグループでは、サプライチェーン全体でより持続可能な調達活動を推進するために、グループ共通の調達方針として、2017年10月に「ワコールグループCSR調達ガイドライン」を制定しています。CSR調達ガイドラインでは、児童労働や強制労働の禁止など、人権・労働に関する国際規範の尊重と遵守をビジネスパートナーに対して求めています。
「ワコールグループCSR調達ガイドライン」ならびに責任ある調達にかかわる具体的な取り組みはこちらをご覧ください。

推進体制

代表取締役社長執行役員が「取締役会」及び業務執行レベルの最高意思決定機関である「グループ経営会議」の責任者であり、サステナビリティ活動に関する全体計画の立案、進捗状況のモニタリングを行う「サステナビリティ委員会」の委員長を務めています。「サステナビリティ委員会」の下部組織に「人権・D&I部会」を設置しており、人権方針に基づく人権尊重の責務が果たされ、その業務執行が適正に行われるよう、人権擁護に関わる教育啓発活動、および人権デューディリジェンスの実行への助言・提言を行っています。

人権デュー・ディリジェンス

当社グループでは、2017年よりCSR調達ガイドラインに沿って、商品調達における人権への負の影響とリスクを特定し、適切な対策を策定・実行するプロセスを講じてきましたが、調達過程以外のサプライチェーンにおける人権課題の抽出は実施できていませんでした。そこで、2023年に当社グループのサプライチェーンで人権デュー・ディリジェンスの仕組みを構築し運用するための取り組みを開始しました。

人権デューディリジェンスのプロセス

人権リスクアセスメント

当社グループのサプライチェーンにおける潜在的な人権リスクの把握を行うため、社外専門家の知見を活用し、人権リスクアセスメントを2023年10月に実施しました。
人権リスクアセスメントでは、デスクトップ調査に加え、取締役、執行役員、マネジメント層が参加する部門横断型のワークショップを開催し、調達過程から販売、消費に至るまでの過程における人権リスクに関して、ディスカッションを行っています。その後、第三者機関との協議を経て、当社グループが優先的に取り組むべき人権テーマを特定しました。

重要人権テーマの特定

テーマ1 調達サプライチェーン上の人権課題の継続的な把握
テーマ2 職場の従業員や店頭の販売員における職場環境の改善
テーマ3 消費者の人権と多様性の尊重

人権インパクトアセスメント

人権リスクアセスメントの結果、重要人権テーマとして特定されたテーマ1「調達サプライチェーン上の人権課題の継続的な把握」に関しては、すでに2018年よりCSR調達部会が中心となって、外国人技能実習生の受け入れ先を含む製造委託先に対して、自己評価等を活用した課題の特定から改善を行う一連のサイクルを継続的に実施しています。
モニタリングにおいては、当社従業員が現場調査の実施も行うなど、状況をより正確に把握し、改善のアドバイスを行っていますが、より客観性と中立性を担保するため、2024年に第三者機関による人権インパクトアセスメントを実施しました。

  • STEP1:外国人技能実習生の雇用状況を確認
    当社日本国内のグループ会社を中心として、外国人技能実習生の雇用状況を確認しました。
  • STEP2:外国人技能実習生への直接アンケート調査
    雇用状況の調査結果を踏まえ、潜在的リスクが一般的に高いとされる外国人技能実習生に対してアンケート調査(オンライン形式、匿名回答、4カ国語対応)を実施し、ライツホルダーの生の声を確認しました。なお本調査は、第三者機関とともに取り組み、調査内容は「尊厳ある移民のためのダッカ原則」に基づいています。
  • STEP3:外国人労働者への直接インタビュー調査
    インタビュー調査は、STEP2の調査状況を踏まえ対象工場を選定しました。なお、客観性および中立性の確保を目的に、調査は第三者機関が実施し、当社および工場関係者は同席いたしませんでした。あわせて、工場長など管理層へのインタビューおよび工場現場の視察を通じて、労働環境の確認を行いました。

評価結果サマリー

  • 外国人技能実習生の就業環境や生活環境については、人権侵害は見られず、会社と外国人技能実習生との関係性が大変良好であることが確認された。
  • 日々の円滑なコミュニケーションも確立されている。業務面では、日本人スタッフが簡潔な日本語で説明する工夫が見られ、生活面では、生活指導員や監理団体の担当者を中心に、日常的な悩みや困りごとを工場側に迅速に共有し対応する体制が整えられている。
  • 工場内の表示は日本語が主体であるため、安心・安全の確保に加え、品質向上や不良率の低減を目的とした多言語表示の充実が望まれる。
  • 日本国内の急激な物価上昇と円安による、生活への影響や生活賃金の基準については、定期的に監理団体と生活指導員と協力して確認していくことが重要である。

人権教育

【従業員に対する人権教育】

当社グループは、従業員の人権尊重に対する理解を深めるために、人権教育を推進しています。
基本的な人権尊重の考え方が記載されている「企業倫理・ワコールの行動指針」の周知を図るため、本指針のテーマを取り上げた"e-ラーニング"を年に1度のペースで実施しています。

【日本国内の経営層を対象とした人権研修の実施】

2023年には日本国内のグループ会社を対象に、取締役、執行役員、マネジメント層が参加する部門横断型のワークショップを開催し、重要な人権テーマを特定しました。各人は事前に「ビジネスと人権に関する指導原則」と「アパレル業界における重要な人権課題」を参照し、当社のサプライチェーン上で発生する恐れのある重要な人権課題を抽出。外部講師による「ビジネスと人権」のグローバル動向や社会からの要請の変化について理解した上で、調達過程から販売、消費に至るまでの過程における人権リスクに関して、ディスカッションを行うことで、人権課題への理解を深めています。

【ビジネスパートナーへの働きかけ】

サプライチェーン全体を通じて、人権尊重の取り組みを実践していくために、製造委託先やサプライヤーに対して「ワコールグループCSR調達ガイドライン」を共有するとともに、必要に応じてフォローアップ等の働きかけを行っています。

その他の取り組み

個人の尊重

ワコールはお互いの人権を守り、人としての品格を備え、切磋琢磨し、深い人間愛に満ちた集団であることを目指します。個人を尊重し、従業員の持つ多彩な能力と多様性を、最も価値のある資産のひとつとして、自律型人間集団を作ることを目指しています。

職場での差別の禁止

職場においては、すべての人が公正に処遇されなければなりません。個人の多様な価値観・個性・プライバシーを尊重し、人種・宗教・性別・国籍・心身障がい・年齢・性的指向・性自認などに関する差別的言動や、暴力行為、セクシャルハラスメント・パワーハラスメント、また、児童労働・強制労働など、人権に係わるすべての不当な差別や嫌がらせを絶対に許さず、厳重に処分することを定めています。

セクシャルハラスメント、パワーハラスメントへの取り組み

  • ワコールグループにおいては、「相互信頼」の精神のもと、従業員全員が、社内はもちろん、社会の人々に信頼される人間たることを、強く願い求めてきました。「個人の人格権に関わる基本方針と取り組みについて」通知をおこない、未然に防止し、排除する体制を整備しています。
  • 個人としての尊厳を不当に傷つける社会的に許されない行為であるとともに、従業員の能力の有効な発揮を妨げ、会社にとっても職場秩序や業務の遂行を阻害し、社会的評価に影響を与える問題と認識しています。
  • 禁止行為及び取り組み事項を定めるとともに、通報者である従業員のプライバシーを保護し、相談・苦情による不利益な取り扱いを受けることがないように十分配慮をしています。
  • 各事業所には、相談・苦情窓口を設置しており、社内ホットラインの利用も含め、誰でも遠慮なく相談することができます。また、苦情や相談内容についての秘密やプライバシーは固く守られ、迅速で的確な対応がとられています。
  • 人事部の相談・苦情窓口担当者が外部研修に参加し、対策立案に役立てています。
  • 意識啓発と未然防止等を目的に、管理職層対象研修を実施しています。
  • 年2回、「セクハラ・パワハラ防止体制について」の通知をイントラネット上で行い、周知を図っています。

安全な商品(消費者の権利)

お客さまの視点に立った安全性の高い商品は、ワコールにとって当然の責務であり、消費者の人権を尊重し、安全・安心を大切にし、また信頼される対応を心がけます。

個人情報の保護

当社は、個人情報の適切な利用と保護を社会的責任と考え、以下の取り組みを確実に推進しています。

  • 情報セキュリティ対策組織を設け、個人情報保護方針及び関連規定を策定
  • 個人情報の運用状況をチェックする体制や、お客さま本人からのお問い合わせなどに対応する体制の整備
  • 個人情報を取り扱う得意先、購買先、業務委託先に対し、当社同水準の情報保護の要求
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