デジタルトランスフォーメーション(DX)
デジタルトランスフォーメーション(DX)
当社は日本、米国、欧州、中国を中心にグローバルでインナーウェア事業などを展開し、「一人ひとりの自分らしさや美しさに貢献するために、からだとこころのいちばん近いところで寄り添い続けること」をミッションとしています。その実践に向けて、自社が抱える事業課題やお客さまの価値観、社会・環境の変化を見据えつつ、長期的なゴールからのバックキャスティングにより、2030年に向けた将来ビジョンを示す「VISION2030」を策定しました。「VISION2030」では、世界市場における競争優位性の確立に向けて、国内外ともにデジタル戦略を掲げ、新しい事業領域や成長領域へ投資を行い、非連続成長の実現に挑戦しております。より大きな成果を生み出すことによって、持続的な成長と企業価値の向上を図り、100年を超えて存続を期待され続ける企業に進化すべく、不断の前進を続けます。
DX戦略
㈱ワコールでは、厳しさを増す外部環境の中でも、高い収益力を確保できる体質へ変革するため、コスト構造改革を実行するとともに、ブランド力・顧客ロイヤリティ・人材力の強化を行い、再成長への回帰を目指しています。また、顧客・市場の変化に迅速に対応できる新生ワコールとなるべく、デジタルを活用した顧客起点のバリューチェーンを再構築するため、需要連動型のサプライチェーンマネジメントなどの改革を進めていきます。
成長戦略として取り組みを進める顧客戦略では、深く広く長い関係性を顧客と構築するため、デジタルを徹底的に活用し、一人ひとりにとっての最適な顧客体験の提供をおこなっています。
「顧客戦略」の具体的な取り組み
- バリューチェーンを顧客起点で再構築。顧客データ、顧客の声、販売員(BA)の接客知見を徹底的に活用
- 3D計測サービス(SCANBE)やアプリ(CARNET)を通じ、リアルとオンラインで一貫した満足度の高い顧客体験を実現
- LTV最大化に向け、ロイヤルカスタマーの育成パスを特定し、管理指標を継続モニタリング
DXビジョンを「未来の当たり前をつくること」と位置づけ、お客さま一人ひとりの未来の日常において”当たり前”となること/ものを思い描くことで、顧客体験の新たな価値を創造することを目指しています。こころとからだは一人ひとり全く異なるものであり、その多様性に寄り添った新たな顧客体験の提供を検討する際には「パーソナライズ」の概念がキーワードになります。従来は個別のお客さま対応には多くのリソースが必要であり物理的な限界が存在していましたが、デジタル技術の活用をもってその壁を越えることが可能になると考えております。当社には、これまでの長年にわたる人間科学研究開発センターでのこころとからだの研究データに加え、「SCANBE(スキャンビー)」によって得られたボディデータ、店舗やECサイトに寄せられたお客さまの声や購買情報、販売員の接客知見など、多くの情報資産が蓄積されています。これらのデータを最大限に活用し、ワコールの「美・快適・健康」分野への事業拡大やよりパーソナライズされた商品・サービスの提供を通じて、お客さまと深く・広く・長い関係性の構築を目指してまいります。

DX推進体制
組織
当社は、DX戦略委員会を設置し、IT部門やEC部門など社内横断でDX戦略を実現する体制を整えています。DX推進の三つの柱は、顧客起点DXと、それを支える業務DX、人材DXです。DX戦略は一つの部門で完結対応できるものではなく、全社戦略としての位置づけが必須と考えており、マーケティング部門において立案する顧客起点の戦略を軸に、各事業と連携して実行しています。
デジタル人材の育成・確保
DX戦略の中心となる戦略構想は内製を軸とし、外部リソースはIT技術など明確な専門分野に限定しています。社内公募を中心とした人材登用を行うとともに、事業成長や新規事業に必要なスキルを持った人材を育成するため、リスキリングに取り組んでいます。必要なスキルの特定は、DX戦略委員会においてデジタルスキル標準に照らし合わせてスキルの定義や区分の策定しています。具体的には以下の要素を重視しています。①現場のビジネスを熟知している、かつ、デジタルと親和性があり吸収力の高い若手メンバーを中心にチームを編成②プロジェクトの中心に顧客視点で考えられる女性のメンバーを登用③本人の熱意に基づく手上げ制を重視する人事制度の積極的活用
ITシステム・サイバーセキュリティ
DX戦略の推進に必要なITシステム環境として、顧客情報や購買履歴、来店履歴はオンライン、オフラインに関わらずクラウド上の顧客基盤に集約し、社内基幹システムと連携させています。これにより、ビジネス環境変化に合わせた、顧客起点のモノづくりやマーケティングを柔軟かつ迅速に実行できる体制を構築しています。また、サイバーセキュリティリスクに対応するため、企業倫理・リスク管理委員会が取締役会の承認のもと、「リスク管理基本規程」を定めています。企業倫理・リスク管理委員会の下部組織である「情報セキュリティ部会」では、顧客個人情報や重要技術情報を狙うサイバー攻撃への対策として、情報セキュリティ全般の情報収集、現状調査、分析等を実施し、活動方針や具体的対策の立案、関連規程の制定・改廃、戦略投資案件を審議するとともに、進捗状況のモニタリングを実行しています。審議された方針や活動内容については、企業倫理・リスク管理委員会を通じて、定期的に取締役会に報告を行っています。
DXの取組内容
3D計測サービス

インナーウェアならではの対面接客のストレスに着目し、顧客体験を「よりストレスフリーに、より自由に」革新した3D計測サービス「SCANBE(スキャンビー)」を2019年5月に開始、延べ約30万人(2025年4月時点)が本サービスを体験しています。2023年5月には自社公式アプリ「ワコールカルネ」へのデータ連携を開始し、計測データをスマホで閲覧可能としました。お客さまが日常において自分のからだと向き合うことができる体験を提供することで、よりお客さまと深く・広く・長く繋がることを目指します。
詳細は、こちらをご覧ください。
データ活用とオープンイノベーション
1.サービス

ボディデータを活用したソリューションをオープンイノベーションのスキームで開発。TOPPAN株式会社、株式会社アイシービーと協業し、AIを活用した「わたしを知る骨格診断」を2024年3月に開始。「SCANBE(スキャンビー)」初の有料コンテンツとなる本サービスは、東京・大阪で過去3回開催したポップアップストアにおいて実施枠がほぼ満席となり、その波及効果によって他店での同サービス利用者も大幅に増加しました。現在14店舗(2025年4月時点)でサービスを展開し、新たな価値創出につながっています。
詳細は、こちらをご覧ください。
2.モノづくり
3D計測を通じて取得したデータ分析により、従来のブラジャーの設計において常識とされていた情報とは異なる新たな事実の発見がありました。そのデータ分析をもとに、より一人ひとりにフィットするパーソナライズ設計された商品を開発、販売しています。3.ヘルスケア領域への拡大

2024年8月には、経済産業省が実施する「令和5年度補正PHR社会実装加速化事業」に実証事業者として採択され、AI食事管理アプリ『あすけん』の開発・運営を行う株式会社askenとのマッチングが成立。「SCANBE(スキャンビー)」に『あすけん』の蓄積データを掛け合わせることで“今のからだ”を外側と内側から知ることができ、利用者のニーズに合ったソリューションを提供するサービスの実現を目指してユースケースの創出に取り組みました。
さらに、グラングリーン大阪内に開業(2025年3月)されたオフィスワーカー向けウェルビーイング向上スペース「SLOW AND STEADY」への出店や、「わたしを知る骨格診断」に次ぐ「SCANBE(スキャンビー)」のデジタルソリューションの開発など、ヘルスケア領域における新たな価値創出を進めています。今後も自社内の開発にとどまらず、他社との協業も積極的に行い”からだを知る”ことを起点とした商品やサービスの提供を拡大することで、顧客体験価値を高め、BtoB共創の可能性の拡大とシナジーの増加につなげてまいります。
詳細は、こちらをご覧ください。
ステークホルダーとの対話
統合レポートのトップメッセージにおいて、DX戦略やその重要性について述べるなど経営トップ自らDX推進のメッセージを発信しております。また決算説明資料等で、DX活用の顧客戦略である「SCANBE(スキャンビー)」の計測者数や計測後の購買行動に関する情報を開示し、継続的な情報発信に努めております。投資家ミーティングでの進捗報告やスモールミーティングを通じた自社のDX戦略等への定期的な対話・説明に加え、DXを活用した取り組みに関するニュースリリースも積極的に配信しています。
外部評価
経済産業省が定める「DX認定事業者」に選定

ワコールホールディングスは、経済産業省のDX認定制度に基づき、DX認定事業者として2022年に認定を受けました。初回認定に引き続き2024年に更新しています。
詳細は、こちらをご覧ください。
ワコールホールディングス「DX銘柄」に2年連続選定

ワコールホールディングスは、「DX銘柄」に準ずる「DX注目企業」に2021年から3年連続で選定され、「DX銘柄」への選定は2024年に続き、2年連続となります。
詳細は、こちらをご覧ください。







