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【前編】女性のポジティブな想いに寄り添う「PEACH JOHN」。時代に合った、新しい取り組みでブランドの存在感を高める

1994年に輸入下着の通販会社として設立され、
2008年からワコールホールディングスの一員となった「PEACH JOHN」
「元気・ハッピィ・セクシー」を掲げ、ランジェリー、ルームウエア、ボディケアコスメなどを販売し、
自分らしさをポジティブに楽しむ女性に支持されてきました。
話題性のあるタレントを起用したプロモーション活動でも注目されるなど、
時代のニーズをいち早く反映している「PEACH JOHN」では、どのような意識をもって、
ものづくりに取り組み、新しいアイデアを生み出しているのか。
前編では、そのアイデアの源に迫ります。

  • 古賀幸枝Yukie Koga

    2005年入社 
    執行役員 商品部長
    商品のデザイン、品質管理、仕入れなど、商品づくり全般を統括

  • 加藤知枝Tomoe Kato

    1997年入社
    執行役員 ストア部長
    全国の店舗事業の責任者。出店計画、販売戦略、人材育成など、店舗運営全般を統括。

  • 伊吹ライラLyra Eve

    2006年入社 
    執行役員 クリエイティブ部長
    ビジュアル素材、コンテンツ制作、キャスティング等プロモーションプランを統括。

お客さまと同じ視点で、情報をキャッチ

—「PEACH JOHN」はどういった方々に支持され、成長してきたのでしょうか?

伊吹:20代、30代、40代と、幅広い世代に受け入れていただいています。「こんなふうになりたい」、「もっとかわいくなりたい」、「毎日を楽しみたい」。そんなポジティブな想いを持った方たちと一緒に成長してきたブランドだと思っています。

—時代のニーズやお客さまのマインドの変化をどのように感じていますか?

加藤:これまでは、トレンドに敏感な人の影響を受けて商品を選ぶお客さまが多かったと思います。しかし今は「多様性」の時代と言われていますよね。トレンドよりも“今の自分の気分に合うかどうか”を重視される方も多いですね。また、変化を感じる点として、自分が価値を認めるものにはお金と時間を投資して、それ以外の出費は節約する「メリハリ消費」の意識が強まっていることがあります。それから、「推し」がいる方がすごく増えている。『推し活』の熱量もさまざまな消費や拡散を生んでいると感じています。

—情報やマインドの変化を感じ取る、リサーチが重要ですよね。どうキャッチアップされているのですか?

加藤: 「PEACH JOHN」の従業員は約95%が女性で、20、30代が中心となって活躍しています。若い従業員も多く、お客さまの年代ともマッチしていますので、常にお客さまと同じ視点に立って、情報収集していると思います。

日常的な会話が、新たな発想や商品開発のアイデアに

—「PEACH JOHN」の強みを教えてください。

伊吹:お客さまと同じタイミングで、同じものに興味を持って、すぐチャレンジできる、トライするところが強みだと思っています。役職に関係なく、日々の女子トークから生まれるアイデアが多いんですよ。

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—日々の会話から商品が生まれるんですか?

伊吹:はい。商品化だけではなく、「こういうことやってみよう」、「こういう伝え方をしよう」など、プロモーションの手法に関するアイデアも普段の会話から出てくることがあります。

加藤:ここ数年は、私と伊吹と古賀の3人で毎年、年間のテーマを考えています。「PEACH JOHN」の「元気、ハッピー、セクシー」を、時代に合わせて変化させていくために、一年を通してお客さまに提供していくことは何か。時代の一歩先をイメージしながら、女性の心に響くテーマを春、夏、秋、冬と、季節ごとに分解して考えます。そしてそのテーマに向かってみんなで、商品やプロモーション、販売戦略を練り上げます。

古賀:このテーマをもとに、お客さまが「言われてみれば欲しかったな」とか、「あったらいいよね」と思っていることを具体的に商品やビジュアルなどとともにストーリーに落とし込んでいます。

挑戦しやすい風土が喜ばれるサービスにつながる

—お客さまの支持を得るために意識していることはありますか?

古賀:作り手側の自己満足になっていないか、客観的な目を失っていないかということは意識しています。

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伊吹:私も自分たちの考えをお客さまに押し付けないことは常に意識しています。私たちがいろいろな提案をするなかで、お客さま自身が「良い」と思ったものをセレクトしてもらいたいんです。

—商品提案と“押し付けない”ことのバランスはどのように取っているのでしょうか?

伊吹:世の中の女性が今、どのようなスタイルになりたいのかという裏付けは、従業員のさまざまなリサーチやアンケートから得たものです。商品に関しては「着用することで、こういう機能によってこうなります」という言い方で提案します。お客さまがそれを見て「こうなりたい!」と思っていただければ、もちろんうれしいのですが、「これが正解です」という言い方はしていません。

—いま、積極的に取り組んでいることは何でしょうか?

古賀:おもしろそうだなと思うことは、やるようにしたいと思っています。商品のデザインや色を決定するときに、最終的には私が承認しますが、新入社員の意見であってもOKを出したいという姿勢でいます。ターゲット層に近い意見は尊重したいと思っています。

伊吹:社内ではいろいろな意見が飛び交いますが、否定をしないように心がけています。否定をするくらいなら代案を出すこと。「それ良くないよね」ではなく、「こういうのはどうかな」と意見を出し合うかたちが理想ですね。

ー働いている皆さんが挑戦しやすい環境ですね。

加藤:お客さまが楽しめる商品やサービスを提供するためには、働く私たちも楽しみながら新しいチャレンジをすることが大切だと思っています。仕事以外のことにもアンテナを張って好奇心をもつ。それが最終的に、お客さまが「PEACH JOHN」に触れた時に、楽しい気持ちになるとか、気持ちが上がるといったことにつながっていくと思っています。

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カタログの休刊、店舗の閉店。変化のときを迎えて

―2019年カタログの休刊は大きな出来事でしたか?

伊吹:カタログ事業はみんなで大事に育てあげてきたので、休刊することについては、社内に対しても、お客さまに対しても、丁寧に対応したいという想いでした。当時、私の部署はカタログ業務を担当していたこともあり、休刊には不安もありました。しかし、同時にECサイトもみんなで築き上げてきたので、カタログから移行する時には覚悟を決めていました。変化への不安はありながらも、希望も見出せていたと思います。

―店舗の閉鎖にも着手されました。

加藤:店舗の閉店が続いたことについては苦しかったです。特に地方の店舗の従業員は、転勤しない限り異動先もないため責任を感じています。それまではカタログが「PEACH JOHN」の世界観を表現していましたが、カタログが休刊してからは、店舗の存在が「PEACH JOHN」のイメージを表現する場として非常に重要だと思うようになりました。店舗は、「PEACH JOHN」をご存じない方にも、通りがかりにブランドを知ってもらう機会になる、唯一の顧客接点の場。自分のブランドを背負っていることをメンバーたちもすごく実感した時期だったと思います。

古賀:カタログの休刊からECにシフトしましたが、まだまだ乗り越えるべき壁があるなと実感しています。会社の方向性については、いかに私たち中間層がメンバーに伝えらえるかが重要だと思います。私たちはまだ変化を乗り越えている道半ばです。

後編につづく