
子どもたちへ「つくる楽しさ」を──ブラジャーの残材料から生まれる、ワコールのものづくり体験
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磯 美穂
2005年入社
(株)ワコール マーケティング本部 IWブランド統括部 ファミリーウエア商品営業課
ワコールでは、2025年10月に大阪・関西万博で開催された「こども万博―ワコールのデザイナー体験」への出展をきっかけに、子どもたちに実際のお仕事を体験してもらうことで、想像力やものづくりへの興味・関心を育む取り組みが大きく広がり始めました。
同イベントは「もしワコールのデザイナーとして入社したら?」というストーリー仕立てのプログラム。参加した子どもたちは、ワコールの歴史や理念、子ども用インナーが完成するまでの企画プロセスや商品に込められた思いについて、クイズ形式で楽しく学んだ後、その内容を活かし実際にヘアゴムづくりに挑戦しました。
制作には、ブラジャーなどの製造過程で生じるレースの端材を使用。素材に触れながら、「つくる楽しみ」や「創造力」を体感してもらう、ワコールならではの新しいワークショップとなりました。
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また、同年11月・12月には、ワコール本社にて近隣の小学生や京都府内の子どもたちを対象に同ワークショップを開催。このイベントには京都府の西脇隆俊知事も参加され、さらに注目を集めました。
それらの活動に取り組んだのが、マタニティ、ベビー・キッズ、ジュニア・ティーン商品のデザインや企画MD、販促、教育までを一貫して担当するファミリーウェア商品営業課のメンバーたち。彼らに共通する思いは「子どもたちにワコールというブランドを知ってもらい、商品が生まれるまでのプロセスやこだわりに共感して欲しい」ということ。そして、成長の中で下着に興味を持ったときや悩みを感じたときに、最初に思い出してもらえる存在でありたいという願いです。
本記事では、この取り組みの中心となって推進してきた担当者にインタビューを実施。活動が始まった背景から万博出展後の広がり、そして今後の展望までをご紹介します。
―子ども向けのイベントが始まったきっかけは?
磯:キッズ・ジュニア商品のデザイナーとして、日々素材やデザインに向き合う中で、「ものづくりの楽しさ」や「ワコールならではのこだわり」を、もっと気軽に身近に伝えられる場をつくりたい、という気持ちがありました。ちょうどその頃、大阪・関西万博での子ども向けの体験イベントのお話をいただき、「ワコールの素材を手に取り、工夫しながら形にしていく経験は、きっと子どもたちの記憶に残るはず」と感じ、チームで前向きに動き出しました。
―万博に出展するまでの経緯は?
磯:当初は、通常業務と並行してイベントを実施できる体制が整っておらず、すぐに参加とは踏み切れませんでした。一方で、若いメンバーにとって「社会貢献」や「楽しさ」「希望」を実感できる機会が必要だとも感じていました。日々の業務に向き合うだけでなく、社会とつながりながら挑戦する経験があってこそ、人は大きく成長できるのではないかと考えていたからです。大阪・関西万博は、人生で一度関われるかどうかという貴重な機会です。社会や未来のあり方を発信する場に携わること自体が大きなモチベーションとなり、新しいことに挑戦する経験がメンバー一人ひとりの成長を後押しすると信じ、「やりたい」と申し出ました。上長からも背中を押していただき、出展に向けて動き出しました。
―「レースの端材」に注目した理由は?
磯:目的は、まず「ワコール」を知ってもらうこと。そのためには、触って楽しく、記念に残る体験がいいと考えていました。
万博側のイベント担当者との打ち合わせの中で、特に反応が良かったのが、レース端材を使ったヘアゴムづくりでした。「こんなキラキラした素敵なレースを見たり触れたりする機会はあまりないので、子どもたちはきっと喜ぶのでは?」という声をいただき、素材としての可能性を感じました。レース端材の刺繍の美しさや、汚れても洗って使える点も好評でした。
―イベント当日の反応はいかがでしたか?
磯:子どもを対象としたワークショップは万博が初めての試みというメンバーも多い中でしたが、手ごたえを強く感じました。ワコールを普段から利用してくださっているご家庭の参加や、体験して下さったお子さまが愛用するキッズインナー商品のデザイナー本人が現場にいたことで、一緒に写真撮影を求められる場面もあり、デザイナー冥利に尽きたのではないでしょうか。お客さまの声を直接聞く経験は、メンバーそれぞれが自分の仕事を振り返るきっかけにもなり、お客さまとワコールブランドとのつながりをより身近に感じられる時間になりました。また、日頃お世話になっている素材の仕入れ先の方々がブースに足を運んでくださるなど、社内外で良い循環が生まれました。
―万博でのイベント経験はその後、どのように活かされていますか?
磯:万博は10月でしたが、その後11月・12月と地元小学校や京都府との連携へと発展し、回を重ねるほどにプログラムの工夫やチームの連携が強化されるなど、チームメンバー一人ひとりの意識や連帯感も高まりました。
―原動力と、これからの挑戦は?
磯:私の原動力はとてもシンプルで、「ワコールを知ってもらいたい」「人を楽しませたい」という、その二つの思いに尽きます。学校や地域イベント、百貨店など、さまざまな場所で活動を広げていきたいと考えています。
この活動を通して、子どもたちをはじめ、保護者や地域の方々との新たなつながりが生まれることも、大きな魅力の一つです。ワコールの素材や商品には、「触れたり、見た瞬間に心が動く力」があります。その実感は、体験を通じて、子どもにも大人にもまっすぐに届くものです。そこにこそ、ワコールならではの大きな魅力があるのではないかと思います。その魅力を、もっと多くの方に体験していただきたい。これからも、さまざまな場で「ワコールの魅力、商品へのこだわり、つくる楽しさ」を届けていきたいと思っています。




