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【後編】多世代の意見を融合させて練り上げた「大いなる将来」へと歩む「MISSION」

約1年間、自らのあり方や役割について考え続けたサステナビリティ推進プロジェクト。
執行役員を中心としたリーダーと、中堅の指名メンバー、そして公募で集まった若手従業員が、
多様な立場から意見を出し合い、ワコールグループが現代社会で果たすべき「MISSION」を定義しました。
後編では、新たに設定した「MISSION」に込めた想いや、「MISSION」の実現に必要なことを語りました。

(統合レポート2022より抜粋)

前編はコチラ
  • 堀 卓朗Takuro Hori

    1989年入社
    (株)ワコール 執行役員
    第1ブランドグループ長

  • 稲積 美紀Miki Inazumi

    2005年入社
    (株)ワコール
    第2ブランドグループ
    メンズインナー商品営業部
    商品企画課 課長

  • 澤 萌子Moeko Sawa

    2015年入社
    (株)ワコール
    マーケティング統括部
    宣伝部 東京宣伝課

  • 希代 駿Shun Kitai

    2018年入社
    (株)ワコール
    技術・生産本部 生産管理部
    生産管理課

創業100年を迎える時
私たちはどうあるべきなのか

30年後、2050年にはワコールは創立100年を迎えます。
プロジェクトでは「ワコールグループの大いなる将来(2050年に目指す姿)」を議論されました。

堀:6人のリーダーでも「大いなる将来」について語り合いました。共通して出てきたのは「世界で必要とされる会社になっている」こと。日本だけではなく、世界の人々の豊かな生活に貢献するために、女性用インナーウェアにとどまらないビジネスに挑戦しながら、成長していくことを確認しました。またビジネスだけではなく、社会貢献や環境対策でも世界をリードする会社になっていきたいと思います。加えて、先ほどからお話が出ているように従業員は自らの課題を認識していますので、それらを解決しながら、全員がいきいきと元気に活躍していけるような「Well-beingな会社」を目指すことも必要だと話をしました。

稲積:私は、「今が未来」という答えにたどり着きました。未来って遠い先のことに感じてしまうかもしれませんが、今考えていること、行動していることがすべて未来につながっています。だから、今を大事にして、今できることをたくさん考えて行動に移していくことが必要であると気づいたのです。

澤:私たちがよく話したのは、年齢や自認する性別、バックグラウンドなどに関係なく、一人ひとりが自分らしくいきいきと活躍できる社会を実現していきたい、ということでした。世の中は目まぐるしく変化していきます。ですから、現時点で将来何をすべきかを定め過ぎず、変化に柔軟に対応できるような企業を目指すことも必要じゃないか。そのためには、お客さまや社会と対話を続け、その声を商品やサービスに反映していくべきだという意見もありました。

希代:ワコールの将来を検討するうえで「そもそも今はどうだろう」と考えました。全員が挑戦する風土の醸成をゴールとすると、今の状態はベストではありません。挑戦する人をみんなで応援するような企業文化を創ることも重要という意見もありました。また、「リーディングカンパニーであるためには、もっと勝負しなきゃダメだ。今は『自分がやってやる!』という気概が役員やマネジメント層も含めて全体に足りないんじゃないか」という意見もありました。コーポレートカルチャーに関しても、みんなと意見を交わすことができたのは良かったと思います。

その結果、プロジェクトでは、創業期からの経営理念を「創業の精神」として根底に置きつつ、ワコールグループとして初めて経営理念の枠組みを変えるという結論が出されました。

堀:経営理念については議論がもっとも白熱しました。創業以来の言葉なので古めかしいイメージはありますが、そこに込められている想いやメッセージは普遍的なものです。議論の結果、創業時の想いは将来に引き継ぐ必要があると判断し、これまでの目標・社是・経営の基本方針を「創業の精神」として位置づけることとしました。同時に、現代社会の中で私たちが果たすべき使命「ミッション」を新たに策定することを決定したのです。なお、経営理念の枠組みの変更に至る過程において、経営層や社外役員とも数多くの意見交換を行っています。大変なプロセスでしたが、私自身にとっても良い経験になったと思います。

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「いちばん近いところ」で
寄り添い続ける存在であるために

新たに誕生した「MISSION」に込めた想いを教えてください。

堀:ミッションで表現した「ひとりひとりが自分らしく美しく いられるように」には私たちが提供する商品やサービスのあり方を、「世の中が 自信と思いやりに あふれるように」は社会や 環境への想いを、そして「からだに こころに」はからだを研究してきたワコールがこころも大事にしていることを表しています。そして「いちばん近いところで 寄り添い続けます」という文章ですが、私はこの「いちばん近いところ」という言葉を入れたことは非常に大事だと思っています。私たちが扱っているインナーウェアは、からだに一番近いところで身に着けるものであり、パーソナルスペースに近い商品です。パーソナルスペースには嫌な人に絶対きてほしくないですよね。ワコールはそのパーソナルスペースでお客さまとお付き合いしていくことを宣言した。このことを非常に重く受け止めています。それは現代社会の抱える課題にも、遠くからではなく一番近いところで貢献しますというメッセージでもあるのです。

稲積:からだのここちよさは、こころのここちよさに直結します。毎日を幸せに過ごしていただくために私たちに何ができるだろうと常に考えて、チャレンジ精神を持って、新しいニーズを発掘して、価値を提供する。このことを誠実にやっていきます。性別やそれぞれのからだに特徴はありますが、それらを超えてワコールはお客さまをサポートし、結果、一人ひとりを応援する会社でありたい。美しさの価値観は時代によって変わるものですから、時代に合った美しさを、常に追求していきたいと思います。

「MISSION」の実現に必要なことは何ですか?

澤:新たにミッションを作った今、ワコールにいる全員にその言葉を掲げた責任があると思います。私たち一人ひとりが変わっていく覚悟、意識を持っていきたいです。今回のミッションでは、からだとこころに一番近いところで寄り添うと言っています。「下着ブランドの中ならワコールがいい」ではなく、生活者が「幸せに生きていくためにワコールにいてもらわないと困る」と思っていただける存在になっていきたいと思います。また、今回のプロジェクトでは、考えが違う人と意見を出し合うことで新しい答えにたどり着くことができました。正解がないからこそ、みんなで考えてぶつかることも大事なんだと身をもって感じました。日々ミッションに立ち返って、今できていること、できていないことは何か、どんどん声に出していきます。

希代:ミッションを実践するには、一人ひとりが誇りを持てるような仕事や文化を創るのが理想だと思います。私たちが楽しめていなかったらお客さまを幸せにする商品を作ることができない。もっと会社を好きになりたいし、みんなが好きになれるような環境づくりをしていきたいです。さらにこれから頑張りたいと思うのは、次の世代のお客さまとつながること。これまでのイメージは「リアル店舗でBAの丁寧な接客によって、高品質な商品が売られている」というものだったと思います。社会が急激に変化している今、次の世代の人々とどう接していくのか、そのイメージをまだ作りきれていないと思うので、そこをみんなで考えていくべきと思います。

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稲積:私は自信を持つことも大事だと思っています。「ありたい自分を知り、一歩ずつ近づくこと。そこで生まれた自信は、多様な人々を受け入れる優しさを育む」とミッションの解説文であるストーリーにも記載があります。周りの人のことを思い、みんなに笑顔でいてほしいと願う。そういう優しさは自分が自信を持つことに直結していると思うので、まずは自分が毎日を誇れるように行動していきます。

堀:こうして、皆さんと一緒にミッションを作り、2030年までにワコールグループで解決を目指すマテリアリティも議論しながら抽出しました。さらに、ミッションやマテリアリティを実現するためにどう行動すべきか、その方向性を今まで以上に明確にした「行動指針(アクション)」も定めました。本当に大切なのは短期的な結果だけではなくて、日々、どういうアクションをするか。その積み重ねが2030年につながっていますので、アクションを実践し、行動を変革していくことがサステナビリティ経営を実践する鍵となります。アクションを常に意識しながら自分自身も率先して行動していきますし、全世界のワコールグループの従業員がアクションに基づいて行動できるようにサポートしていきたいと思います。ワコールグループ全員でアクションを実践し、なくてはならない企業へ進化していきます。ぜひ、期待してください。

おわり

「MISSION」と「VISION 2030」の達成に向けた、役員・従業員の行動指針