株式会社ワコールホールディングス



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トップメッセージ


株主・投資家の皆様へ

“「世の女性に美しくなって貰う事によって広く社会に寄与する」
という創業の精神のもと、グループの総合力を一層高め、
世界のワコールを目指します。”

代表取締役 塚本能交


女性と共にあるワコールグループ

「世の女性に美しくなって貰う事によって広く社会に寄与する」という創業の精神でもある経営理念のもと、私たちワコールは愛される商品を作り、時代の要求する新製品を開発することで、これまで企業価値の向上に努めてまいりました。

また、美しさだけでなく、より快適に、より健康にという視点からも女性美を追究するため、「ワコール人間科学研究所」では、40年以上の長きにわたり、女性のからだに関する基礎研究を続けています。こうした他社にはない、ワコールグループならではの取り組みがあるからこそ、「顧客にとって本物の価値とは何か」を見極め、その時代にあった魅力ある商品を開発することができます。

また、「女性共感企業」を掲げる当社ならではの活動も、「ワコール人間科学研究所」は支えています。乳がん手術を受けられた女性向けの「リマンマ事業」、セミオーダーの「デューブルベ事業」、高齢者向け商品の「グッドエイジ事業」など、社会的課題を解決するために、ビジネスの手法を用いて取り組むソーシャル関連事業にも、その研究成果は生かされています。これからもワコールグループは、創業の精神を大切に、「女性と共にある」企業として広く社会に貢献していきたいと考えています。


2011年3月期の業績報告

当期(2010年4月―2011年3月)のワコールグループの連結業績は、売上高1,657億26百万円(前年同期比1.5%増)、営業利益42億55百万円(同11.7%増)、当社株主に帰属する当期純利益26億15百万円(同3.6%増)となりました。

国内事業では、主力販売チャネルである百貨店、量販店といった各業態が不振を続ける中、当社もその影響を受けるなど厳しい経営環境にありました。しかしながら、当社グループは2010年4月にスタートした中期経営計画のもと、主力事業会社である株式会社ワコールを中心に、収益力向上を図る構造改革の推進と、中国を中心とする海外事業の積極的展開による成長力強化に取り組みました。その結果、ワコール国内事業は、構造改革の成果により利益面での改善が図られました。しかしながら、株式会社ピーチ・ジョンにおいて無形固定資産に関わる減損損失を計上するなど約30億円の営業損失を計上し、前期に比較して営業増益を達成したものの、不本意な結果に終わりました。


中期経営計画の概要

期間

2010年4月―2013年3月

グループの将来像

「グループとして世界のワコールを目指す」

数値目標(2013年3月期)

連結売上高190,000百万円以上
営業利益8,000百万円以上

3カ年グループ方針

  • グループ各社が連携し、各社の強みを発揮することにより、ワコールグループの総合力を高める
  • グループ収益額を確保し、その拡大を図る
    - インナーウェア卸事業を中心とした構造改革
    - 国内・海外成長分野での拡大加速
  • グループとしての経営体制を強化する

3年後に目標とするグループの姿

  • 既存インナーウェア卸事業以外の売上・収益の柱ができている
  • 海外事業(米国・中国他)が成長を支えている
  • インナーウェア卸事業の構造改革が進み、収益構造が改善している
  • グループ経営体制が整備強化されている
  • 企業として社会的責任を果たしている(コンプライアンス、CSR)

中期経営計画の進捗状況

昨年4月にスタートした中期経営計画は1年目を終えました。残念ながら当期業績から判断する限り、多くの克服すべき課題があります。しかしその一方で、確かな手ごたえを得られた成果もあります。私としては残りの2年間で目の前にある課題を着実に乗り越えながら、目指す目標を達成していきたいと考えています。

ワコール国内事業では、前倒しで推進した構造改革の効果や経費の適正なコントロールなどにより、計画を上回るペースで営業利益が回復しました。しかし売上については、人間科学研究所のエイジングに関する研究成果発表に基づくプロモーション活動により、ブラジャーが好調に推移したものの、全体では震災の影響もあり前期実績を下回りました。

一方、ワコール海外事業では、売上は概ね好調に推移したものの、営業利益は中国事業における先行投資費用の増加等により、ほぼ前期並みの水準にとどまりました。今後、ワコール国内事業では売上の回復に努め、海外事業では売上成長を持続しつつ、利益創出を実現していくことが課題です。

その他事業では、昨年完全子会社化したルシアンは収益構造の改善が進んだものの、年金費用の計上など特殊要因の影響もあり、目標としてきた営業黒字化を果たせませんでした。また、当期の連結業績に大きなネガティブインパクトを与えたのがピーチ・ジョン事業です。売上が10%以上落ち込むと同時に、2期連続で大きな営業損失を計上しました。今後の利益拡大に当たっては、先ずはピーチ・ジョン事業の再建が最優先課題になります。


中期経営計画の達成に向けた今後の施策と戦略

中期経営計画2年目を迎える今期(2011年4月―2012年3月)については、先述の課題克服に向け、さまざまな取り組みのスピードアップを図っています。卸売事業を中心とする国内ワコール事業の収益力強化については、主力の百貨店チャネルにおける事業効率をさらに高めていきます。既に、1アイテムあたりの在庫数を絞り込む一方で、より幅広い商品ラインアップを展開することで、お客さまの商品選択の幅を広げ、商品購買のリピート率を高める取り組みを図っています。今後はさらに綿密な商品コントロールを行い、店頭在庫の回転率を高めていくとともに、店頭販売員の適切な配置により、1人当たりの生産性向上を実現します。加えて、生産や物流の合理化、ビジネスインフラ改革に向けた取り組みも継続していく考えです。

ピーチ・ジョン事業の再建については、今期より経営体制を刷新し、これまでの戦略を抜本的に見直すことで、早期の営業黒字化を実現します。組織体制の変更に加え、商品企画の見直しなども図ることで、売上を回復させると同時に、確固たる利益体質への変革を進めます。

ルシアンでは、商品構成の中で売上の約半分をインナーウェアが占める中、さらにその約8割を利益率が低いOEM商品が占めています。そのため現在では、事業の付加価値を高めるべく、大手チェーンストアとの共同商品企画やワコールのウイングブランド事業との共同売場展開などの施策を講じています。生産面では、低価格帯商品の生産ノウハウを生かし、ワコールの小売事業やピーチ・ジョンとの協業、新ブランド投入など、さまざまなグループシナジーを追求しています。また海外においても、ワコールの中国事業を生産面で支える体制づくりを検討しています。ワコールは現在、中国で高級品市場を中心にした商品展開を図っていますが、中・低価格帯市場向けに新たなブランド投入も計画しており、ルシアンがその生産を担い、低コストで安定的に供給できる生産体制が構築できると考えています。

さらに中期経営計画において、グループの将来像として掲げた「世界のワコール」を実現する上でもっとも重要な経営課題が、海外事業の拡大です。ワコールグループが世界で大きな存在感を示すべく韓国やタイ、台湾に相次いで合弁会社を設立し、海外に進出を果たしたのは、1970年代初頭のことです。以来40年が経過し、今では海外の事業会社は関連会社を含めて30社に及び、合算した現地売上高は520億円に達しています。しかしながら、「世界のワコール」というには未だ道半ばです。国内市場が成熟化する中、ワコールグループが今後も着実な成長を持続していくには、海外事業をさらに拡大していかなくてはなりません。

なかでも米国や成長市場である中国での事業拡大を加速していきます。米国では、米国国内の事業拡大に加え、ここを拠点に、カナダ、ブラジル、メキシコなど新たな国々への市場参入も進めています。中国事業は依然として先行投資段階にあり、当面は積極的な宣伝広告活動と店舗網の拡大によりワコールブランドの認知度向上とシェア確保を目指します。当期連結業績でも営業損失を計上しましたが、今期については利益面では、ブレークイーブンとなる見込みです。来期(2012年4月―2013年3月)以降には、利益面でグループに貢献できるようになる計画です。


グループ総合力の発揮に向けて

2011年6月に私は、株式会社ワコールの代表取締役社長を退き、代表取締役会長に就任しました。そして新たに安原弘展が代表取締役社長執行役員に就任し、業務執行の最高責任者として同社の指揮を執ることになりました。これまで、私は持株会社ワコールホールディングスと事業会社ワコールの社長職を兼任してきましたが、両社の役割の違いからその職を兼務するべきではないと以前から考えており、中期経営計画が進行中ではありますが、業績回復の道筋が付いてきた今が好機と考えました。安原は、中国事業やワコールのものづくりに深く関わってきた豊富な経験を持ち、人格的にも社内外の信頼が厚いことから同社のトップにふさわしい人物だと判断しています。新体制のもと、私はこれまで以上に持株会社のトップとしてワコールグループの総合力を高めていくための役割を担っていきたいと考えています。

純粋持株会社の設立から既に約6年が経過し、ピーチ・ジョンやルシアンといった新たに当社グループの一員となった企業とワコールとの連携強化も喫緊の課題になっています。こうした課題に対応するため、「グループ戦略会議」を設置しています。この会議は、各事業会社のトップが一つのテーブルを囲むことで、商品企画から生産までさまざまな問題・課題をグループ全体で共有し、問題解決を一元的に進めていくことを目的としています。これにより、ワコールグループの総合力を高め、経営判断のスピードアップも実現できます。将来的には海外の事業会社も含めた会議の開催を考えています。


グループとして世界のワコールを目指して

「世の女性に美しくなって貰う事によって広く社会に寄与する」というワコールの経営理念は、決して国内の女性だけでなく、世界中の女性を対象としています。中期経営計画で掲げた「グループとして世界のワコールを目指す」という目標は、まさにワコールグループの商品が世界中の女性に受け入れられ、愛されることを願ってのものです。それは単に、ワコールの商品が世界のマーケットで販売されることを目指すものではなく、ワコールにしかできない高品質で付加価値の高いものづくりにより、女性の心を豊かにすることを目指すものです。

商品に対する圧倒的な信頼感をベースに、世界中の女性からワコールブランドの持つ真の価値が認められて初めて、「世界のワコール」が実現すると考えています。さらに将来的には、現在日本国内と海外の一部で推進している、ワコールならではのソーシャル・ビジネスを世界各地へと拡大したいと考えています。本業を通じて社会や女性のクオリティ・オブ・ライフに貢献することも、ワコールの重要な社会的使命であると考えています。

最後に、2011年3月11日に発生した東日本大震災で被災された皆さまに、心よりお見舞い申し上げますとともに、一日も早い復興をお祈りしております。当社グループも、復興に向けて被災された皆さまを全力で支援させていただく所存です。

また、株主・投資家の皆さまにおかれましては、今後とも一層のご支援とご理解を賜りますようお願い申し上げます。

2011年8月

代表取締役社長 塚本能交


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