中期経営計画(FY2020-FY2022)
基本方針
現実を直視し、将来需要を見極め、果敢に改革を行い、成長にこだわる
- 国内外ともに力強い成長軌道を示す
- 成果の乏しい事業やブランドの将来性を検証し、聖域なきグループ事業構造の見直しと改革を進める
- 経済的価値と社会的価値の双方を向上し企業価値を高める
これらを軸にして、デジタル技術で進化させた顧客サービスの拡充をはじめ、競合が追随できないオムニチャネル政策の実行や、国内外の垣根を取り払った付加価値の高い新製品の導入、国や地域特性を見据えた主要なECサイトとの連携強化ないしは自社ECサイトの構築、小規模にとどまっている国や地域の事業拡大に向けた成長投資、制度疲労を起こしている事業モデルの改革、競争優位性あるサプライチェーン網の確立など、個々の事業課題への対応を、スピード感を持って進めます。
また、持続可能な社会の実現に向けて、製造委託先との協働によるCSR調達の進化、脱プラスチックへの取り組みや売れ残り商品の削減による地球環境との共生、多様な人材を活かしたダイバーシティ&インクルージョン組織体制の整備に努めます。こうしたサステナブルな事業基盤から育まれる、新しい価値の創出にも責任を持って取り組んでいきます。
事業活動を通した収益性の改善と資本効率の向上に併せて、安定的な配当と機動的な自己株式の取得を行い、有価証券・投資評価損益影響(米国会計基準では損益計算書のその他の収益・費用として認識される)を除く、実質ベースでの総還元性向100%の維持に努めます。このほか、事業の持続的成長を支える投資を最優先する一方、適宜、政策保有株式の縮減を進めることで、適正なキャッシュバランスを築いていきます。
こうした取り組みを通して、最終の会計年度となる2022年3月期に、売上高2,100億円、営業利益140億円(連結売上高営業利益率6.7%)、当社株主に帰属する当期純利益120億円、連結ROE6%超の達成を計画しています。
基本方針と重点戦略

定量目標
連結売上高 | 営業利益(営業利益率) | 当社株主に帰属する当期純利益 | ROE | |
2022年3月期目標値 | 2,100億円 | 140億円(6.7%) | 120億円 | 6% |
重点戦略
- 事業施策
①㈱ワコールの持続的成長と収益力向上
②国内連結子会社の再生
③海外事業の拡大・成長
④グループ生産・供給体制の再整備
⑤事業ポートフォリオ拡大・新規事業への挑戦 - 社会的価値の向上(ESG課題への取り組み)
- 資本コストを意識した経営
1.事業施策
㈱ワコールの持続的成長と収益力向上
新中期経営計画において、㈱ワコールが目指すべき姿は、「すべての事業活動を通して、一人ひとりのお客さまと『深く、広く、長く』つながる関係を築き、ブランド価値を高め、確かな成長を実現する」ことです。
厳しい市場環境がある反面、当社にとって機会と捉えられる動向も目立ってきており、前中計から取り組む新たな流通チャネル政策の実行を通して、No.1ブランドとしてより盤石な市場の評価を確立し、売上高の年平均成長率2.5%程度の実現を目指します。同時に、組織生産性の最大化を図ることで、2022年3月期には営業利益率6%以上の達成を目指します。
中核課題 | 具体的な取り組み |
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商品企画、生産、コミュニケーション、販売といった、すべての事業活動を通して、一人ひとりのお客さまと「深く、広く、長く」つながる関係を築くことで、ブランド価値を高め、確かな成長を実現 |
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国内連結子会社の再生
ピーチ・ジョン、Ai(アイ)、ルシアン、いずれの事業も前中期計画目標数値を大きく下回り、2019年3月期には営業損失に転落しました。これは、ピーチ・ジョン、Ai、ルシアンが築いてきた従来型の販売・マーケティングのあり方が通用しなくなったためであり、事業モデル自体を改革すべき転換期に来ているという認識に立っています。新中期経営計画では、国内連結子会社の抜本的な事業改革に取り組みます。同時に、この3ヵ年の前半において恒常的な営業黒字化への道すじがつかない場合には、再生のための対処計画に移行する計画です。
中核課題 | 具体的な取り組み |
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従来型の事業モデルからの脱皮と改革の実行 |
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海外事業の拡大・成長
海外の主要市場のすべてにおいて百貨店業態(リアル店舗)の衰退が進んでおり、米国、ヨーロッパ、中国の3つの地域では、売上の2~3割がEコマースによるものとなっています。今後もその傾向が一層加速するという認識のもと、さまざまな国や地域において、ECモール事業者との連携強化、または日本国内のオムニチャネル戦略に倣い、自社EコマースとCRMとの統合といった取り組みに着手していきます。併せて、インドや中南米、ユーロ圏など、事業規模が小さい国や地域の強化に向けた成長投資を実施するとともに、既存の事業との相性を見極めながら、適切なM&Aを含めた「非連続成長」に挑戦します。
中核課題 | 具体的な取り組み |
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EC事業の強化 |
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グループ生産・供給体制の再整備
- ブランドや地域事業の垣根を越えて、競争力ある製品・材料が供給できる体制の構築を目指し、グループ規模での横断的な生産管理体制の確立する。
- 将来の海外事業の成長を見据えた最適な供給体制の構築を目指す(ASEANの生産キャパシティの拡大、ドミニカの生産能力の強化 など)
事業ポートフォリオ拡大・新規事業への挑戦
- 事業領域の「選択と集中」を意識し、中長期の視点で、非連続成長を実現するための成長投資を実施する
2.社会的価値の向上(ESG課題への取り組み)
人権、倫理、多様性を基盤にした活力ある風土づくり
<具体的な取り組み>- CSR調達への取り組み強化(継続的改善と対象範囲拡大)
- 多様な価値観を尊重した広告表現の制作意識の向上
- 世界各地でのブレストケア課題への支援
- 「働きがい」と「働きやすさ」の両立
- 多様な働き方を実現する環境の整備
- ダイバーシティ&インクルージョン推進による新しい価値創出
地球環境や地域社会との共生
<具体的な取り組み>- 包装材等での脱プラスチック対応の推進
- 売れ残り商品廃棄の縮減
- スマートファクトリー化による生産段階での資源ロス削減
- 京町家・町並みの保存と地域社会の価値向上
3.資本コストを意識した経営
中核課題 | 具体的な取り組み |
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将来成長への投資と株主還元の充実
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