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特集

特集2017

サプライチェーン全体で
信頼関係を深め一丸となって
豊かな未来を切り拓いていく

ワコールグループでは、持続的かつ健全な事業成長のために注力すべき
CSR課題としてサプライチェーンにおける労働環境問題解決に乗りだしています。
サプライヤーとの共存共栄に向けた取り組みについて、取締役副社長の安原弘展と、
サステナビリティの専門家としてご活躍の海野みづえ氏に語っていただきました。

株式会社ワコールホールディングス
取締役副社長安原 弘展

海野 みづえ

広域化、複雑化するサプライチェーン内のマネジメントに注力

海野グローバリゼーションに伴い、企業にとって、サプライチェーンを含めたCSRへの取り組み強化は、優先して取り組むべき課題であるという認識が高まっています。

安原おっしゃる通りです。ご承知と思いますが、昨年11月、国際人権NGOからミャンマーの委託先縫製工場の労働環境に関する指摘を受けました。それをきっかけに、子会社と協力しながら国内、海外、すべてのサプライヤーのリストアップを行い、マネジメント体制の再構築を進めています。

海野直営工場であれば管理しやすいと思いますが、海外で、あるいは子会社が発注した委託先の先まで...というのは、大企業ならどこも苦労している部分なのです。ですが、今はそこまで相当な対応をしなければならない時代です。

安原もちろんこれまでも自社工場だけでなく、外注先や委託先、材料の仕入れ先に至るまで、できるだけ現地に赴き、労働環境等に気を配ってきました。それは「品質を守る」ためです。お客さまに満足いただくためには高い技術のみならず、人手をかけなければならないし、材料も吟味しなければならない。また、環境面も、管理状況も、社員のモチベーションも、すべて整っていなければ不可能。そんな考え方で、サプライヤーと共存共栄できる体制を構築してきたのです。

海野品質に妥協を許さない御社らしいアプローチですね。しかしながら漏れがあったと?

安原商社を経由して少量の製品を仕入れるケースのみならず、直営工場での運用にも見落としがありました。そこで、リストアップしたサプライヤーの実態を調査し、信頼に足る取引先との取り組みを強化することを考え始めました。

海野法規制も含め、欧米を中心にさまざまな面で厳しくなっていますから、「少量取引だから」とか「末端の委託先だから」というのは通用しません。ワールドワイドにビジネスを展開する企業の責任は大きいです。

安原そうですね。欧米に供給しているグループ工場では広範なチェックをしていますし、アメリカではサプライヤーリストの開示は当たり前。各国との取引については、日本を経由しないサプライチェーンが出来上がっていて、国ごとに異なるルールについても個別に対応しています。

海野先日、御社のベトナム工場を見学してきました。社員の方々と話す機会も設けていただきましたが、皆さん大変ポジティブで、活気に満ちていたのが印象的でした。

安原ベトナム工場は、単一工場としては最大の生産規模を誇る基幹工場です。現在日本人は一人だけで、あとは全員ローカルスタッフ。しっかりと現地化されており、自分たちの役割認識もできていますからモチベーションも高いと思います。

海野中国などでは、コスト削減の観点から正社員を減らして派遣社員を大量採用する日系企業が多いですが、御社はいかがですか。

安原当社は全員が正社員です。コストより品質を重視したいからです。一つの場所に根を下ろし、安心して働ける環境を提供することで相互信頼を育み、技術の定着と習熟につなげていく。それが私たちの商品を支える礎になると考えています。

ステークホルダーとのコミュニケーションを密にし、
よい関係を築くことで新たな価値創造へ

海野人権や労働に対して厳しい目が向けられる時代となり、真摯な取り組みを実行していたとしても、NGOや労働団体から現場の問題について指摘を受ける機会が今後もないとはいえません。そのような際の対応について考えをお聞かせください。

安原当たり前ですが、まずは彼らの指摘の真意を理解すること。そして、問題点を洗い出し、必要な改善については即実行する。これに尽きると思います。

海野お客様センターにお声が届いたら、誠意を持って迅速に対応しますよね。彼らもステークホルダーですから同様にするのが望ましいと思います。指摘を受けたら、問題の起きている現場へすぐに足を運んだ方がいい。さらにいえば、指摘されたから対処するという受け身の姿勢ではなく、平素からコミュニケーションを図っておくことも大事なのではないでしょうか。

安原今回の件について指摘を受け、社内からもそういった意見が上がってきました。今後はルールを作り上げていく過程のなかで、積極的に意見を交換する場を設けていく考えです。

海野ぜひ実行してください。互いに連携し、信頼し合ってよりよい方向を目指すという関係が理想だと思います。

事業活動の持続的成長を目指し"品質最優先"の
ワコール流サプライチェーン・マネジメントを

海野 みづえ

株式会社創コンサルティング 代表取締役。日本企業のグローバル戦略に視点を置き、独自の分析眼で戦略的CSR・サステナビリティ分野での経営のあり方を提言。企業価値の創造をもたらす「サステナビリティ経営戦略」を実践に落とし込むべく、企業活動の実務をサポートしている。

海野事業の持続的成長を下支えするのがサプライチェーンの役割ですが、今後懸念されるのはどのようなことでしょうか。

安原いちばんネックになってくるのは染色でしょう。どこの国も排水規制は厳しく、設備投資は大変な負担で採算に見合いません。労働環境も厳しいですから、染色工場は減っていく一方です。持続可能な生産と消費に向け、染色はサプライチェーン全体で取り組んでいかなければならない問題です。

海野御社は日本、中国、ミャンマー、ベトナムの各国において、強固なサプライチェーンを構築していらっしゃいます。より一層の発展を目指して、現在のビジネスモデルをどのように適応していかれるお考えですか。

安原コストダウンを求めて次々移転するといった発想はないですね。私たちが大切にしているのは品質の確かなものを作ることであり、サプライチェーン内の環境や人権に配慮しながら、インフラを含めて体制の最適化を図るのもそのためです。それが、お客さまの信頼に応えること、ひいては事業の持続可能性へつながっていくと肝に命じています。