1. ホーム > 
  2. CSR > 
  3. 特集

特集

特集2015

企業価値を高めるダイバーシティ戦略

皆がいきいきと輝くワコールグループへ

ワコールグループの人材は性別、年齢や障がいの有無など実に多様で、中でも女性の割合が約88%と際立って高いのが特徴です。さまざまな個性を持つ従業員一人ひとりが互いの価値観を認め合い、組織目標の達成に向けて努力していくことを、競争力の源泉としています。
2014年4月には、(株)ワコールで葛西順子氏が女性初の執行役員に就任するとともに、葛西氏を初代室長とする「ダイバーシティ・キャリア支援室」が発足しました。支援室では、①育児や介護といったライフイベントに際して、社員がスムーズに職場復帰できるよう、制度の設計・運用を行う「両立支援」、②社員のキャリアアップをサポートし、次世代リーダーの育成を図る「活躍推進」をダイバーシティ推進の2本柱に掲げ、さまざまな施策に取り組んでいます。2015年5月には男女の若手社員が新規事業の創出を企てる「WE! ラボ・プロジェクト」をスタートしたほか、ワンランク上のビジネススキルを伝授する「寺子屋・カレッジ」の立ち上げ準備も着々と進んでいます。
そんな葛西室長と、女性だけのセールスチームとして活躍しているエリア販売統括部東日本担当店販売一課の小島宏子課長、坂口由利子セールスの3人に、グループの女性活躍の現状やあるべき姿について語っていただきました(以下、敬称略)。

営業現場における女性活躍の効果

次世代のリーダー育成に向けて

―― ダイバーシティ・キャリア支援室の発足にいたる経緯をお聞かせください。

葛西 きっかけとなったのは、経営陣・従業員双方の問題提起を受けて始まった「女性活躍推進プロジェクト」です。私はその委員長に指名されたのですが、まずは社長の塚本、専務取締役の安原に直接話を聞き、プロジェクト設置の真意を十分確認したうえで、受けました。
二人のメッセージは非常に明確なものでした。―― ワコールには約88%もの女性従業員がいて、それなりに恵まれた環境で働いている。だが、本当の意味でリーダーシップを発揮できている女性が、どれだけいるだろうか。一人ひとりが「持ち場で頑張る」ことも確かに大切だが、結局、企業の力とは、どれだけ優秀なリーダーを持っているかで決まるのではないか。その点、ワコールにはまだまだ課題があるのではないか、と。
リーダーとは必ずしも管理職や役員のことではありませんが、プロジェクトでは女性管理職比率(2015年4月時点で15.6%)を2018年までに20%に引き上げることを目標に掲げています。まず数字ありきではなく、次世代の女性リーダーの着実な育成に向けて、年間80名前後を対象に、セルフエントリー式のリーダーシップ研修をスタートしました。リーダーを目指すからには、自分で手を挙げる意志や覚悟が必要だと思います。また逆に、そういう先輩たちの姿を見て、今までその気がなかった人たちも同じ志を持ってくれることを期待しています。

株式会社ワコール 執行役員 人事総務本部 ダイバーシティ・キャリア支援室長 葛西 順子

小島 数字ありきではない、まず「人ありき」だというのは、私も同感です。やはり実力社会ですし、リーダーにはそれなりの苦労もあるので、個人の努力はどうしても必要です。

葛西 女性の登用というのは、決して女性に甘くすることではありません。「セールスは男性の仕事」「マネジャーは男性の仕事」という固定観念を取り払い、性別ではなく個人の適性に応じた人材起用を徹底する、ということ。いいかえれば、女性にもそのぶん厳しいことを求める施策です。小島さんはそのまっただ中にいるので、そういう実感をお持ちだと思います。

小島 他方、お得意先からは「女性の下着を扱う企業でこうした取り組みが進めば、現場やお客さまにより身近な組織になってくれるだろう」というお声を多く伺います。励みになりますし、期待されているのは非常に感じています。

坂口 現場では、女性課長が増えたとか、そういうところで「変化」を実感することが多いし、私たちのモチベーション向上にもつながっていると感じます。

小島 営業エリアの月1回の集合日でも、上司が必ず女性の活躍促進の重要性について言及しますし、意識改革はかなり浸透しています。

営業センスは性差より個人差

―― 女性ならではの強みといったことは意識されますか。

坂口 下着を扱う仕事ですから、女性ならではの感覚はもちろん大切ですが、女性の強みと男性の強みは違う面があるので、お互いに補い合っていく形が理想かなと思います。

葛西 一昔前はお得意先からも、裏での力仕事や交渉ごとは男性の方が適していると思われて「女性セールスはやめて」と言われることもあったのですが、今はもうそういう声は出ないし、実際皆さんはお得意先を巻き込んで、どんどん商談を進めていますよね。

小島 売場で気づいたことをどんどん提案し、何かあったら会社に持ち帰ってすぐレスポンスすることで、信頼感や期待値がどんどん上がっていると感じます。

株式会社ワコール ワコールブランド事業本部 エリア販売統括部 東日本担当店 販売一課長 小島 宏子

葛西 そういう現場感覚が大切ですね。頭の中で大きな変化を考えるのではなく、その時々の小さな変化に素早く対応し、結果がよければただちに展開する。そのスピード感が皆さんの強みだと思います。

小島 営業センスは男女の差ではなく、個人の差が大きいと思います。ただ、実際に売場に立ったことがある人は、お客さまやお得意先をそれだけよく知っていますし、経験や知識という非常に大きな財産を持っています。
例えば、予算の制約で店頭に小さなDVDモニターしか置けず、お客さまが前を素通りされている店舗がありました。今までならそのままでしたが、会社から大画面のモニターを借りてきて、他店と持ち回りにしたら、どの店舗でもお客さまの反応が全然違ったんです。こういうちょっとした改善で差が出てくるように思います。「そんな大きいのは高くて買えない」ではなく、それなら何ができるかを考えることで、「借りてくる」という道が生まれる。

―― まさに多様な視点が入って改善できた例ですね。

葛西 それに気づいただけでなく、諦めずにやってみたところが結果につながったのだと思います。

BAからセールス、そしてマネジャーへ

葛西 坂口さんは小島課長から、セールスにスカウトされたんですよね。

坂口 BAで20年間、一通りのことを経験してきて、販売の仕事は好きだったのですが、もう一つ上のステップで新たなチャレンジをしたいと思ってお受けしました。現場経験が長いので、BAとは全部話さなくても通じ合えますし、お得意先ともこれまで多くの時間を共有してきたので、お互いに安心感があるように思います。

株式会社ワコール ワコールブランド事業本部 エリア販売統括部 東日本担当店 販売一課 坂口 由利子

葛西 初めは苦労もたくさんあったでしょう。

坂口 予算入力や進捗管理などの組織のルールに関しては、よくわからなくて苦労する面がありました。特にセールスの研修も受けていないので、これからセールスを目指す人たちのために、業務フロー・マニュアルや皆が共有できるQ&Aのようなものがあればいいなと思います。

葛西 実際に現場では、このような声を受けて研修をスタートしています。

―― 小島さんはいかがでしたか。

小島 私は17年間、BAとして働き、最後はBAのリーダーとなって、お得意先との商談など、セールスと変わらないような仕事をしていました。ただ、こうした仕事は最終的にセールスの返事待ちで、いろいろな絡みで速く動けないことが続いたので、それなら自分がセールスになろう、と考えるようになりました。当時セールスとして当然知っているべきこともわからず周囲に迷惑をかけながらも、自分で手を挙げたからには、どんなきついことでもやり抜くという想いで取り組みました。ただ、普通はBAのリーダーの上にセールスがくる形なのですが、私は両方兼任だったので、いろいろな問題を自分一人で抱え込んでしまい、苦労したこともあります。

葛西 BAに聞いたところでは、リーダーはお母さん、セールスはお父さんのような役割分担があるそうですね。そこで一人二役をやるというのは大変だったろうと思います。

―― その後、課長になられて変わった部分はありますか。

小島 最初は、きっと大変な仕事が待っているのだろうと思っていました。私の強みは現場に強いことだけなので、上層部へのプレゼンテーションがうまくできるかとか、不安でいっぱいでした。ただ、会議で現場の話をすると、逆に「そういうことが聞きたかった」と、かえって受け入れられる環境がありました。大変なこともありますが、今では「自分にやれることは大きいな」という自信のほうが大きくなっています。私自身が成長し、次のステップに上がることで、私のような存在をもっと育てていくことができると考えています。

ワコールはもっとすごい会社になれる

葛西 そういう志のある人に無下に「ダメ」と言わず、何でもチャレンジさせてくれるところが、ワコールにはあると実感しています。要は、その人が志を持つか持たないか。「やりたい」という人には、会社としてしっかり応えていきます。
社内でアンケートを取ると、「マネージャーになりたい」と答える女性社員は1割くらいです。ただ、分母が大きいので、もし1割の女性が本気でマネージャーを目指すとしたら、相当なボリュームになります。女性のキャリアアップといっても特別な頑張り方ではなく、いろいろな頑張り方が受け入れられるようになっていくでしょう。
実際、社内を見ると皆さん優秀です。きっかけさえ与えてあげれば、きっと大きな変化が起こるでしょう。女性たちのリーダーシップがさらに発揮されたら、ワコールはもっとすごい会社になるのではないかと思います。

―― その辺の仕組みづくり、環境整備は大変ではないでしょうか。

葛西 大変に見えるでしょうが、本当はそうでもありません。それまでやってこなかっただけで、やってみれば案外普通にできてしまう。「大変だ」というのは思い込みにすぎないのです。物事の仕組みや見方を少し変えればいろいろなことができるのに、それをしないのはもったいないと思います。何でもやってみたらいいじゃないか、うまくいかなかったら違う方法でやり直せばいい―― そういう一種の能天気さが、ワコールにはあるのでしょう。切羽詰まってやっている感じではなく、ある程度の失敗も許容するスタンスがあります。

―― チャレンジしやすい環境ということですね。

葛西 それに甘え過ぎている自分たちがいるというのが、課題といえば課題。でも、それでこそ伸びしろがあるのです。まだまだやれるのではないかと、私自身は思っています。